新品のLPでもクリーニングすると音がよくなる理由(レコードクリーング:2)

新品のLPでもクリーニングすると音がよくなる理由(レコードクリーング:2)

前回は、レコードを必ず(マシン)でレコードをクリーングする理由を簡単にお話しした。

今回は、もうちょっと踏み込んだ話を。

これをご覧の皆さんは、新品のレコードをクリーニングしたことがあるだろうか?
不思議な話であるが、必ず良くなる。ちょっと、カルト的な話であるが、事実だと私は確信しているし、多くの友人(レコードコレクターでほとんどが私の先輩や先生のようなひと人)も同意見だ。


新品LPを開封してまずは、聴いてみる。
プレスミスなどがない限り、良好な再生音が楽しめる。あたりまえのこと。
しかし、この一回聴いたLPをクリーニングマシンで丁寧に洗浄してから再度聴いてみると、さらに再生される音楽はずっと魅力的になって聴き手に迫ってくるのだ。 

じつに不思議な話!
まだまだ、アナログレコードには私たちの知らないことがある。

その理由は?
いくつか考えられるが、以下が考えられる。

1. 盤面に付着した埃など 
2. レコード盤を作ったときにできる「削りかす」
3. その他

1. 盤面に付着した埃など


クリーンメイトNEO

レコードを当店で常用しているクリーニングマシンのひとつである、クリーンメイトNEOで洗浄後、マシンから出てくる廃液を観察してみると、使用前の洗浄液と比べて白く濁っていて、なかには無数の埃がみえる、盤の表面に付着しているごみなどである。これを見ても想像以上にレコードの表面は汚れていることがわかる。

 

 

2. レコード盤を作ったときにできる「削りかす」

昨年、当店で常用していたついにクリーンメイトNEOが故障した。
少なく見積もっても10000枚以上のレコードの両面を洗ったのだから、ある意味仕方がないことだと、メーカーの方はおっしゃっていた。
「逆の言い方をすれば、通常の使い方をすれば、10000枚は洗浄可能ということが証明されたということですね。」

さて、修理のためにマシンの裏蓋を開けてびっくりしたことがある。

洗浄液を排出する透明なビニールホースの内部が真っ黒になっているのだ。さらにはレコード表面から汚れの混じった洗浄液を吸引するノズルの付け根に何やら黒い塊ができている。それも見事なまでに真っ黒なのである。



はじめは、レコード表面のごみなどが固まったものかと思ったが、ちょっと違うようだ。
私の友人にもいろいろと聞いてみたが、「わからない」と言われた。



その中で、レコードの工場の内部に詳しい人から、こんな興味深い仮説を聞かせてもらった。
「レコードは、強度・硬度を上げるため、そして表面についた埃を目立たせるために原料(塩化ビニール)にカーボンを混ぜ込む。その黒ではないのか?」

レコードは工場では、スタンパーでプレスしたのち、盤の縁の凹凸(バリ)を取るため削られる。その細かな黒い「削りかす」が四六時中工場内に浮遊している。またプレスしたてのレコードはプレスによる静電気を帯びているので、そのためプレスしたてのレコードには無数の「削りかす」の粒子が引き付けられている可能があるというのだ。
もしかしたら、これが新品のレコードでさえも、音質を劣化させる原因であるかもしれないのだ。

この黒い塊は科学的に分析に出す予定。

(続く)